【9月19日 AFP】米オハイオ(Ohio)州で、強姦殺人で死刑判決を受けた男の刑の執行が1週間延期された。薬物を注射する静脈が見つからなかったため。

 執行が予定されていたのは1984年に10代の少女を強姦し殺害した罪で死刑判決を受けたロメル・ブルーム(Romell Broom)死刑囚(53)。弁護士によれば前週、死刑執行官は腕や脚などのあらゆる場所に20回にわたり注射針を刺したが、2時間かかっても静脈が見つからなかった。

 ブルーム死刑囚は執行官に協力的だったが、あまりの苦痛にうちひしがれ、最後には崩れ落ちて泣き出したという。「彼は精神的に強く冷静な性格で感情を表に出さない人間だが、今回は完全に参ってしまった」

 弁護士は、再度の死刑執行は米憲法が禁じた「残虐で異常な刑罰」にあたるとして再執行しないよう求めている。「刑の執行が試みられた以上、ブルームを是が非でも処刑しなくてもよいという議論もある」

 米国では1946年にもルイジアナ(Louisiana )州でウィリー・フランシス(Willie Francis)死刑囚の電気椅子による死刑執行が失敗している。当時も同様の議論が起きたが、最高裁は5対4で刑を再度執行する決定を下した。(c)AFP