【9月17日 AFP】(一部更新)オーストラリア・ビクトリア(Victoria)州で、60代の男が実の娘に対し、30年間ほとんど毎日性的暴行を加えて、4人の子どもを生ませていたことが17日、地元紙の報道で明らかになった。警察にはこの男の行動について訴えが出されていたが、その後も暴行は続いていたという。

■11歳から30年間暴行、警察に相談も

 メルボルン(Melbourne)の地元紙ヘラルド・サン(Herald Sun)が17日報じたところによると、男は1970年代、娘が11歳だった頃から性的暴行をはたらき始めた。被害女性は2005年、警察に被害を相談したが、身の危険を案じ、それ以上の協力を拒んだという。

 その後、被害女性は前年6月に再び警察を訪れ、父親に対する陳述を行った。この陳述に基づいて警察が父親のDNA検査を行い、今年2月に83件の性的暴行で訴追したという。一方、エイジ(Age)紙は、その後男の罪状は近親相姦5件、レイプ5件、16歳以下の少女に対する強制わいせつ2件など、13件に減らされたとしている。

 子どもは4人ともに出生異常が見られ、うち1人は後に死亡している。

■母親は「知らなかった」と主張

 ヘラルド・サンによれば、娘の母親は夫の性的暴行については何も知らなかったと主張。娘に子どもたちの父親について尋ねると口をつぐみ、ナイトクラブで会った男たちだなどとあいまいな返事をしたと話した。

 また、夫について、気分屋で口汚いが性的暴行をするような人物だと疑ったことは一度もなかったとも語った。

   「大きな家に住んでいたから、気づかなかった。夫は毒舌で酒飲みだった」

 母親によると、娘の子どもたちが父親との間にできたことがDNA鑑定で確認されたことから、警察は起訴に踏み切ったという。

■近所では4年前から疑惑

 近所に住むある女性は、少なくとも4年前から男のことを怪しいと思っていたが、「他人が関わることではないと思ったので誰にも相談しなかった」という。

 地元メディアはこの事件について、オーストリアで実の娘を24年間監禁、性的暴行を加えて7人の子どもを産ませ、うち1人を殺害して無期刑を受けたヨーゼフ・フリッツル(Josef Fritzl)受刑者の事件との類似性を指摘している。(c)AFP/William West