【9月11日 AFP】メキシコ航空機(アエロメヒコ、Aeromexico)機が9日に一時ハイジャックされた事件で、犯人のボリビア人牧師は、ジュースの空き缶3個を使って搭乗員らに爆弾を持っていると信じ込ませていたことが、逮捕後に開かれた記者会見での本人の供述で明らかになった。

 この事件では、メキシコ南東部の保養地カンクン(Cancun)発メキシコ市(Mexico City)行きのボーイング(Boeing)737型機が航行中にハイジャックされ、犯人は爆発物を所持しているとの情報があったが、メキシコ市の空港に着陸した同機に突入した警官隊は爆発物を発見できなかった。乗員乗客は全員無事だった。

■砂入り空き缶でニセ爆弾を作成

「あれは爆弾ではない。砂を詰めたジュースの缶を3つ並べて、小さなライトを幾つか付けたものだ」。逮捕されたホセ・マルク・フロレス・ペレイラ(Jose Marc Flores Pereira)容疑者は、記者会見で笑顔で語った。

 また、2009年9月9日に事件を起こしたことについて、日付の数字「999」が反キリストを表すとされる「666」の逆さまだからだなどと述べた。

 ペレイラ容疑者は福音派牧師を名乗り、歌手、元薬物中毒者、元服役囚などの経歴が伝えられている。17年前からメキシコ在住という。ハイジャック機を7回空港上空を往復させるよう命じたり、メキシコのフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領との会談を要求した。

 また、同容疑者が事件当時、「父と子と精霊」になぞらえて「共犯者がいる」と搭乗員に話したことから、メキシコ当局は当初ペレイラ容疑者以外に5人を拘束したが、その後、単独犯だったことが判明している。

■妻は「精神的問題」を指摘、母は「祝福」

 メキシコ南部オアハカ(Oaxaca)州の地元報道によると、ペレイラ容疑者の妻、エルサ・ベルガラ(Elsa Vergara)さんはカルデロン大統領に謝罪し、「夫は精神的な問題で苦しんでいた」などと話した。

 一方、ボリビア在住のペレイア容疑者の母親は、息子はメキシコ大統領にメキシコ市の中央広場で福音を説いてもらいたくてハイジャックを考えていたと語り、「主が息子にハイジャックをさせたのであれば、神の御名において私は息子を祝福します」と地元メディアに述べたという。(c)AFP/Jennifer Gonzalez