【8月29日 AFP】イラク首相府は26日、1990年のクウェート侵攻時にクウェート国立美術館から盗まれたパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)が描いた絵画を発見したと発表したが、この作品がピカソの作ではない可能性が高まっている。

 首相府の発表によると、首都バグダッド(Baghdad)南40キロの地域で治安部隊に逮捕された容疑者がこの絵を所持していたという。この容疑者は1998年からこの絵を所有していた。

 一目でピカソの絵と分かる特徴が1つもないこの絵の裏面に貼られたラベルには、タイトルとして「the nakede(ママ)」、また「sold by the louvre to the musum(ママ) Of Kuwait 1979」(1979年、ルーブルによってクウェートの美術館に売却)と記載されている。

 さらに「Louvre musem」との文字があしらわれたエッフェル塔の模様のスタンプも押されているが、「美術館」を意味する単語の綴りがいずれも「museum」ではなく「musem」と誤って記載されていた。

 あるクウェート国立美術館の関係者は匿名を条件に「当美術館がそのような作品を所有したことはない」と証言した。さらにルーブル美術館関係者もAFPに対し、同美術館の収蔵品は19世紀半ばまでの作品に限られる上、収蔵品を売却したことはなく、公式なスタンプにエッフェル塔の図案も使っていないと述べた。

 イラク首相府は当初、専門家の見積もりとしてこの絵画は1000万ドル(約9億4000万円)以上の価値があると発表していた。(c)AFP