【8月29日 AFP】米カリフォルニア州で11歳の女性を誘拐し18年間自宅に監禁していたとして逮捕されたフィリップ・ガリドー(Phillip Garrido)と妻ナンシー(Nancy Garrido)両被告の罪状認否が28日行われ、両被告は誘拐、レイプ、不当監禁など28の犯罪事実について無罪を主張した。

 ナンシー被告は手続が行われた約5分間ずっとすすり泣いていたが、夫のフィリップ被告はそのかたわらに感情を示さずに立っていた。2人は弁護士を通して無罪の答弁をした。

■自分の宗教を作りたい?

 1991年6月10日に義父のカール・プロビン(Carl Probyn)さんが見ている前で自宅前から2人が乗った車で連れ去されたジェイシー・リー・ドゥガード(Jaycee Lee Dugard)さん(29)が26日に保護されて事件が発覚した。ジェイシーさんはフィリップ被告との間に現在15歳と11歳になる娘をもうけている。

 近所の人たちはガリドー被告を、自分の宗教団体を作りたいと考えている宗教原理主義者だと話している。

 警察は25日、カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)で学生に宗教関連のパンフレットを配ろうと不審な行動をしていたフィリップ被告を見つけた。フィリップ被告は翌26日、過去にガリドー被告の自宅を訪問したことがある保護観察官と面談するよう命じられた。

 ガリドー被告は、面談に妻のナンシー被告と2人の少女、そしてアリッサ(Allissa)という女性を伴って現れたという。面談が進むうちにアリッサという女性が誘拐されたドゥガードさんだということが分かり、両被告は逮捕された。

■周辺住民と捜査関係者に衝撃

 付近の住民は、誰にも知られずに長期間女性が監禁されていたことにショックを隠せない。スティーブ(Steve)と名乗る男性は「最初ガリドーに会ったときにはいい人だと思ったけれど、今では撃つなり吊すなりしてやりたい」と語った。

 地元コントラ・コスタ(Contra Costa)郡の保安官事務所は2006年11月30日、近隣住民から、ガリドー被告の家の裏庭にある小屋に子どもたちが監禁されているようだとの通報を受けていたが、通報を受けた保安官はガリドー被告の自宅に入らず、裏庭も調べなかった。

 保安官事務所は26日にこの事実を認め、ジェイシーさんを救出する機会を逃していたことを謝罪する声明を発表した。もっと早く犯罪に気づけなかったことで捜査機関は衝撃を受けている。(c)AFP/Rob Gloster