【8月18日 AFP】米ドル紙幣は流通する中で手荒に扱われ、時には汚されることもある。だが、「ダーティー・マネー」という言葉には新たな意味が付け加わりそうだ。16日に開かれた米国化学会(American Chemical Society)の総会で、米ドル紙幣の約90%にコカインの痕跡があったとする報告が発表された。これは2年前に実施された同様の調査から20%も増加していることになるという。

 紙幣は、密売人による取引や巻いてコカイン吸引に使われることで、コカインが付着することがあるということはよく知られている。だが、調査によると、紙幣が紙幣計数機に入れられた際に大規模なコカインの付着が起こるのだという。

 米国、カナダ、ブラジル、中国、日本などの主要30都市で収集された紙幣を対象に行った調査の結果、紙幣に付着しているコカインのレベルは、米国が最も高かったという。ガスクロマトグラフ質量分析計と呼ばれる装置を改良して調査を行った研究者たちは、多くの地域でコカインのレベルは「憂慮すべき」レベルだったと指摘した。

 米国に次いでコカインが付着した紙幣が多かったのは、隣国のカナダだった。調査した27枚のうち85%に痕跡があり、1枚あたりの付着量も2.4マイクログラムから、発見された中で最高量となる2530マイクログラム以上検出されたものまであった。3位はブラジルで80%、中国と日本は最低レベルでそれぞれ20%と12%だった。

 研究者らは、この調査によってコカイン使用に対する人びとの関心を高めるとともに、取締機関などに社会の中でどれだけコカインがまん延しているかを認識してもらい、コカイン乱用防止に役立ててもらいたいとしている。(c)AFP