【8月14日 AFP】「わたしは組織犯罪の犠牲者だ」――。司会を務める番組の視聴率を上げるために殺人を指示したとして起訴されたブラジルの元テレビ司会者ウォレス・ソーザ(Wallace Souza)氏は13日、北部マナウス(Manaus)でAFPの電話取材に応じ、このように語った。

 ソーザ氏は前月30日に起訴されたが、地元議会の議員を務めているため不逮捕特権があり、逮捕はできない。同氏は元警官だったが、燃料の密売に関与したとして免職されている。

 同氏は申し立ては汚職警官によるものだと主張。これに対し警察の捜査責任者は「事実を曲げるのが実にうまい」と応戦した。

 同責任者によると、ソーザ氏は約40人からなる犯罪グループを組織し、殺人、麻薬密売、銃の密輸入などを行ったとして、数か月のうちには裁判にかけられる見通しだという。

■視聴率を上げるために

 警察当局によると、ソーザ氏は司会を務める犯罪追跡番組「カナル・リブレ(Canal Livre)」の視聴率を上げるために、麻薬密売人少なくとも5人の殺害を指示したという。同番組は、警察が到着する前にいち早く犯罪現場の様子を伝えることで人気があったが、4か月前に打ち切りとなっている。

 前年遅く放送されたソーザ氏の番組の中で、麻薬密売人とされる人物の遺体が殺害直後と見られるため不信に思い、同番組を疑い始めたという。

 検察当局はソーザ氏がライバルをけ落とすために犯罪グループを使ったと見ており、同氏のボディーガード(元警官)を9人の殺害容疑で逮捕した。このボディーガードは、殺人は「カナル・リブレ」の特番のため実行したと供述しているという。

 警察当局によると、警察や検察が収集した証拠を統合すると、容疑の立証は非常に容易だったという。

 ソーザ氏の摘発は、同地域での政治と警察に浸透した組織犯罪の幅広い取り締まりの一環だという。(c)AFP/Claire de Oliveira