【8月10日 AFP】米カリフォルニア(California)州南部の刑務所で9日、暴動が発生し、受刑者55人が重傷を負って病院に搬送されたほか、200人以上が負傷した。この刑務所が発表した。

 暴動があったのはロサンゼルス(Los Angeles)の東約56キロの街、チノ(Chino)にある刑務所で、8日夜に起きた受刑者同士の乱闘が暴動に発展した。

 発表によれば刑務所側は「致死的な手段の使用も選択肢に入れつつ」、こん棒や催涙スプレーなどを用いて9日の午前7時(日本時間同日午後11時)までに刑務所内の舎房棟を制圧した。刑務所の職員に負傷者は出ていないが、放火されるなどして施設の建物に大きな損害が出た。

 この刑務所は男性受刑者1300人を収容している。暴動のきっかけになった乱闘は刑務所内の警備が中程度の区画で発生し、現在その原因について調査が進められている。今回の暴動をうけ、州当局は9日、州南部の全刑務所への立ち入りを禁止した。

 カリフォルニアの刑務所は、米国でも特に収容者が過密なうえ、慢性的な資金不足で知られる。こうしたことから連邦判事3人が前週、2年以内に受刑者4万人を釈放する計画を立てるよう命じていた。

 カリフォルニアでは現在、33か所の刑務所に15万人の受刑者が収容されている。軽犯罪に対しても長期の刑が適用される同州の刑務所については、かねてから受刑者の過密状態や医療態勢の不備が指摘されていた。(c)AFP