【7月20日 AFP】マレーシア・クランタン(Kelantan)州のスルタン(イスラム王侯)王子妃となった元モデル(17)が、夫の王子(31)のもとから逃げ出し、性的暴行を受けたと訴えている問題で、王子側は20日、妻とその母親を相手取り、名誉毀損で1億500万リンギット(約28億円)の損害賠償を求める訴えを起こした。

 マレーシア国営通信によると、夫のトゥンク・テメンゴン・モハマド・ファクリー(Tengku Temenggong Mohammad Fakhry)王子側は、妻で元モデルのマノハラ・オデリア・ピノ(Manohara Odelia Pinot)さんとピノさんの母親に中傷されたとして裁判を起こした。

 ピノさんは5月、シンガポールのホテルに滞在中、護衛をすり抜けて逃げ出してインドネシアの家族のもとに戻った後、王子から虐待や性的暴行、拷問などを受けていたと打ち明けた。さらに報道陣に対し、ファクリー王子と前年に結婚して以来、性的奴隷のように扱われてきたと語った。

 王子側のモハマド・ハジク・ピレー(Mohamad Haaziq Pillay)弁護士は、インドネシアにいるピノさんと母親のデイジー・ファジャリナ(Daisy Fajarina)さんに宛て、裁判の開始を通知するところだと述べた。同弁護士は国営ベルナマ(Bernama)通信に「誰でも何でも言うことはできるが、彼らには証拠があるのか。彼らこそ裁判に出てきて、自分たちの主張を証明するときだ」と語った。

 インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)の社交界では、有名なソーシャライトとして知られるピノさんは、クランタンの宮殿の寝室に監視付きで閉じこめられ、王子からカミソリで切られたり、薬物を注射されたりしたとも述べている。

 ピノさんの弁護士によると、ピノさんはインドネシア警察に虐待の被害を届け出たが、警察からは国外での出来事のため捜査できないと応答されたという。(c)AFP