【7月9日 AFP】中国当局は9日、英豪系資源大手リオ・ティント(Rio Tinto)の社員4人の身柄を、国家機密情報を盗んだスパイ容疑で5日に拘束したことを明らかにした。

 中国外務省の秦剛(Qin Gang)報道官は、4人が「国家機密を盗み、中国の経済的利益と安全保障に多大な損害を与えたという十分な証拠を関係当局は得ている」と述べた。盗まれたとされる機密情報の種類については、「捜査中」との理由で言及を避けた。

 また、これに先だって国家安全局上海(Shanghai)支部は、拘束されているのはオーストラリア国籍を持つスターン・フー(Stern Hu)氏と中国籍の3人であることを明らかにした。スティーブン・スミス(Stephen Smith)豪外相は前日8日、フー氏が「スパイ行為と国家機密を盗んだ容疑」で拘束されていると発表していた。

 リオ社の北京(Beijing)事務所の広報担当者は、驚きを表明するとともに、豪政府からの情報で社員の拘束を知ったことを明らかにした。また、「拘束を裏付けるような証拠は一切知らない」と述べ、社員とその家族を引き続き支えていく方針を示したが、詳細についてはコメントを避けた。

 リオは鉄鉱石世界第2位で、拘束された社員が所属していた上海事務所は、中国市場での販売・販促を担当していた。中国はリオに対し、鉄鉱石価格を日本や韓国との合意より引き下げるよう要求しており、交渉は難航したまま前週、期限を迎えていた。

 また、リオは6月、大株主の中国アルミ大手チャイナルコ(Chinalco)から195億ドル(約1兆8000億円)の出資を受ける提携計画を白紙撤回し、反発した中国との間で緊張が高まっていた。中国政府は、リオと英豪系同業BHPビリトン(BHP Billiton)との鉄鉱石事業の統合に独占禁止法の適用をちらつかせていたほか、国営メディアは出資計画の撤回はオーストラリア側の「偏見」が原因だと報じていた。(c)AFP