【6月15日 AFP】自家製の半潜水艇を利用したコロンビア-米国間の麻薬密輸の摘発回数が、今年に入って急増している。1月以降、当局が摘発した手作り潜水艇の数は13隻。前週の1週間だけで、コロンビア北西沖で米軍が7隻、メキシコ海軍が1隻を摘発し、当局は「画期的な摘発数」と表現している。

 コロンビアの密売人たちは、プラスチック樹脂製の潜水艇を海面のわずか下に潜水させた状態で、米国に何トンものコカインを運び込む。

 米麻薬取締局(US Drug Enforcement AdministrationDEA)の同地域担当主任、ジェイ・バーグマン(Jay Bergman)氏は、「実際に発見するまで、半潜水艇はまったく都市伝説だった。そういう情報はあったが、われわれは懐疑的だった」と話した。

 同氏によると、こうした潜水艇はほとんど見つからないまま、約6-10トンの麻薬を運ぶが、運搬中に摘発されそうになった場合には、船底からすぐに麻薬を海中に捨て去ることができる。そうしておいて乗組員らは、遭難した一般船舶のふりをするわけだ。

 国連(UN)の推計では、コロンビアの年間コカイン生産量は、世界の総生産量の60%にあたる約600トン。米上院に提出された報告書で沿岸警備当局は、2008年のコロンビア産コカインの少なくとも32%が、こうした半潜水艇で米国に密輸されたとみている。

 当局が初めてコロンビアの密売人の自家製潜水艇を発見したのは1993年。それ以降、46隻の半潜水艇を摘発したが、うち13隻が今年1月以降に見つかった。コロンビア海兵隊のHernando Wills提督によると、潜水艇という「古風」な手段に密売グループが戻り始めたのはここ2年ほどのこと。それまではもっと目につきやすい高速艇や漁船、貨物コンテナなどが使用されていたという。(c)AFP/Carlos Osorio and Michaela Cancela-Kieffer