【6月13日 AFP】豪ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州で前年1月、酷暑の日に護送車で移送されていた46歳の男性が「熱死」したことをめぐって、遺族らは13日、訴訟を検討していることを明らかにした。

 検視官は12日、死亡した男性に対する対応が非人道的で「恥ずべきこと」だったとして非難し、検察に対し刑事責任の追及を求めるべきだと語った。

 死亡した男性は、オーストラリア先住民アボリジニのワード(Ward)さん。文化的な理由により名前は明らかにされていない。前日に飲酒運転で逮捕されたワードさんは、炭坑の町ラバートン(Laverton)からカルグーリー(Kalgoorlie)の間360キロの距離を移送中、4時間にわたってエアコンが故障した摂氏50度の車内に閉じこめられたという。

 検視によると、金属の床に触れたワードさんの体の部位は、重度の「3度」のやけどを負っていた。

 ウエスタンオーストラリア州のアラステア・ホープ(Alastair Hope)検視官は、ワードさんが事実上、「加熱されて」死亡したと述べ、州刑務所当局と護送車を運用していた民間警備会社、ワードさんを移送していた警備員2人を厳しく非難した。

「この21世紀に、拘束された人、とりわけまだ有罪判決も受けていない人物が、酷暑の中、密閉物の中で長距離を移送させられていたことは、恥ずべきことだ」(ホープ検視官)

 最終的にワードさんは意識不明の状態でカルグーリーの病院に運び込まれた。ワードさんの体はあまりに高温だったため、医療スタッフにも体温を下げることが出来なかった。氷浴後も、ワードさんの体温は摂氏41.7度あったという。(c)AFP