【6月10日 AFP】マレーシア・クランタン(Kelantan)州のスルタン(イスラム王侯)王子妃となった元モデルのマノハラ・オデリア・ピノ(Manohara Odelia Pinot)さん(17)が、王子の夫(31)から性的暴行や拷問を受けたと訴えている問題で、法医学専門家は9日、マノハラさんが肉体的な虐待を受けていたことを医療検査で確認したと述べた。

 米国とインドネシアの二重国籍を持つマノハラさんは前週、記者団に対し、前年に結婚して以降、夫のTengku Temenggong Mohammad Fakhry王子から性奴隷のように扱われていたと語った。マノハラさんは、シンガポールのホテルで護衛から逃げのびて、インドネシアの家族のもとに戻り、虐待や性的暴行、拷問を受けていたことを明らかにした。

 法医学者のMun'im Idries氏は、AFPに対し、「体の多くの部位に切り傷が見られた。傷は、胸部に特に多く、まだ生々しい傷もある」と述べた。また、「薬物を皮下注射されていたと訴えているので、血液と尿のサンプルの検査を行っている」と語り、背中に注射痕があったと述べた。

 マノハラさんは、宮殿の寝室で護衛の監視下におかれ、カミソリで切られたり、薬物を注射されたりしたと訴えていた。また、薬物が原因による吐血もあったという。

 9日の検査後にマノハラさんは、性行為の前には、中身の分からない薬物を王子に注射されていたと語った。また、TV Oneテレビに対し「何を注射されたか分からないけれど、動くことができなかった。見ることも、感じることも、聴くこともでき、においをかぐこともでき、感覚はあったけれど、動くことができなかった」と語った。

 マノハラさんは、シンガポールの病院で治療中だった義父でスルタンのイスマイル・ペトラ・シャー2世(Ismail Petra Shah II)を訪れた際に逃げのび、シンガポール警察に保護された。

■肉体的虐待を検査で確認

 マノハラさんの弁護士の1人、Farhat Abbas氏は、AFPに対し「医療検査は完了し、全身に肉体的な虐待があったことを確認する結果となった。マノハラさんの主張が真実であることが証明された」と語った。

 弁護士によると、マノハラさんは9日、インドネシア警察に、虐待を申し立てる訴状を正式に提出した。王子のほかに、共犯としてスルタンやスルタンの妻ら6人の名前を挙げたという。

 インドネシア警察は、マノハラさんの訴えを受け取ったと述べ、「マレーシアで起きた事件で管轄外なので、われわれが捜査することはできない。しかし、マレーシア警察に事件を訴える協力はするつもりだ」と述べた。(c)AFP