【6月6日 AFP】約30年間キューバのためにスパイ行為を働いていたとして、元米国務省職員とその妻が逮捕、起訴された。米司法省(Department of Justice)が5日明らかにした。

 同省の声明によると、ワシントンD.C.(Washington D.C.)在住のウォルター・ケンドール・マイヤーズ(Walter Kendall Myers)容疑者(72)と妻グヴェンドリン・スタイングラーバー・マイヤーズ(Gwendolyn Steingraber Myers)容疑者(71)は4日、米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)のおとり捜査によって逮捕された。2人は短波ラジオやショッピングカートを利用して米国の機密情報をキューバに渡していたとして起訴され、5日、地方裁判所に出廷した。

 ウォルター被告は1977年、バージニア(Virginia)州アーリントン(Arlington)の米国務省の外務職員局(Foreign Service Institute )で講師として働き始めた。その後1998年から1999年まで同省情報調査局(Bureau of Intelligence and Research)で勤務し、1985年に機密情報へのアクセス権が与えられ、1999年にはさらに昇格した。

 夫妻は1978年、キューバを訪れた際に初めてキューバ政府から接触を受けた。その6か月後、サウスダコタ(South Dakota)の自宅をキューバ当局者が訪問、夫妻はスパイとなることに合意した。

 2人は短波ラジオでキューバから指令を受け、地元の銀行の調査部門で働いていた妻がスーパーで、ショッピングカートをキューバ側の工作員と取り替える手口で情報を渡していた。妻は、やりやすかったのでこの方法を使ったと供述している。

 夫妻は1995年、キューバ政府から勲章を授与され、フィデル・カストロ(Fidel Castro)国家評議会議長(当時)にも面会したとされる。

 夫妻は多数の罪状で起訴されており、有罪になれば有線通信不正行為の罪で20年以下、外国政府のスパイとして働いた罪で10年以下の禁固刑が科される可能性がある。(c)AFP/Jo Biddle