DV被害のマレーシア・スルタン王子妃、自力で脱出
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【6月1日 AFP】マレーシアのスルタン(イスラム王侯)王子(31)の夫に虐待されていると訴えていたインドネシア人モデルのマノハラ・オデリア・ピノ(Manohara Odelia Pinot)さん(17)が前週末、王子らと共にシンガポールを訪れた際に警察に保護を求め、無事インドネシアに帰国した。
マノハラさんは前年、マレーシア・クランタン(Kelantan)州のスルタンの王子と結婚したが、夫から精神的・肉体的虐待を受けていると訴えていた。
■「まるで性奴隷」、恐怖の結婚生活
31日に帰国したマノハラさんはジャカルタ(Jakarta)で、王宮では性奴隷のように扱われ、レイプ、虐待、拷問が日常的だったと、恐怖の結婚生活をメディアに語った。
「結婚生活で起こった全ての出来事がトラウマになっていて、苦しいです」「性的暴行やセクハラは日常的で、望まない時にセックスを強要されました」――。ジャカルタ・グローブ(Jakarta Globe)紙が伝えたところによると、マノハラさんは社交行事の席では笑うよう王族から強要され、「幸福な王子の若妻」を演じさせられた。言う通りにしないと、後で虐待されたという。
マノハラさんは寝室でも常に護衛に監視され、不満を口にするとすぐに精神安定剤を注射された。注射が原因で吐血したこともあったという。
「体のあちこちをカミソリで切られたこともあります」「まるで動物のように扱われました。わたしは夫の所有物で、いつも夫の部屋にいなければならず、夫は私で遊びたいと思った時に部屋に入ってくる生活でした」
■旅行先で自力で脱出
マノハラさんは、スルタンの病気治療の付き添いで王族一家とシンガポールを訪れた際、密かに警察を呼び、保護された。宿泊していたホテルのエレベーターで非常ボタンを押し、護衛から逃げ出したという。護衛は、ホテル内の防犯カメラに映ることを恐れ、マノハラさんを追いかけなかった。
「警官は夫に、私の身柄を自由にしないと拘置すると言いました。シンガポールでは誰も私の意志に背くことを強要できない。逃げ出すチャンスだと思っていました」
マノハラさんはすでに離婚訴訟を申し立てているが、インドネシア外務省は、マノハラさんが夫を虐待などで訴えるのであれば、支援する意向を明らかにした。
しかし、マノハラさんはインドネシアの在マレーシア大使館が、マノハラさんは幸せに暮らしていると嘘を言って状況を悪化させたと非難。母親のデイジー・ファジャリナ(Daisy Fajarina)さんも、マレーシアとインドネシアの両国政府が虐待の事実を隠蔽しようとしたとして、王子を訴える構えを見せている。
一方、マレーシア政府は、王族の個人的な問題だとして調査を行わない方針を明らかにした。王子や王族側からのコメントは出ていない。(c)AFP