【5月27日 AFP】フランス・パリ(Paris)で25日、組織的詐欺の罪で起訴された新興宗教団体サイエントロジー教会(Church of Scientology)と同団体フランス支部の幹部6人の公判が開始された。フランス国内における活動の全面禁止命令が下される可能性もあるという。

 サイエントロジー教会は、トム・クルーズ(Tom Cruise)さんやジョン・トラボルタ(John Travolta)さんなどハリウッド・スターも入信していることで知られているが、フランスで裁判にかけられるのはこの6年間で2回目。一方、同教会の信者個人に限れば、1978年以来、数人が起訴されている。

 今回告訴したのは、女性2人。1人の女性は、人間の精神状態を計測できるとする「エレクトロメーター」などの同教会関連の物品の購入代金として2万ユーロ(約270万円)をだまし取られたとしている。この女性の証言によると、1998年後半、サイエントロジー関係者にパリ市内の街頭で声をかけられ、心理的な問題を抱えていたことから、無料の性格テストをもちかけられたという。その後、テスト結果が悪かったとして、プログラムの受講料やビタミン剤などの商品を買わされ、借金苦に陥ったという。

 もう1人の女性は、1998年、同教会の信者だった雇用主から性格テストを受け、プログラムに参加するよう強要されたという。女性が断ると、解雇された。同教会を告訴したのは、もともと4人だったが、うち2人は告訴を取り下げている。

 パリにあるサイエントロジー・セレブリティー・センター教会(Scientology Celebrity Centre)と同教会幹部6人は、「心理的な影響力を行使して、財産を奪う目的」で詐欺行為を行ったとして起訴された。もともと7人が起訴されていたが、1人はすでに死亡している。

 被告のうち数人は、精神状態を改善するビタミン剤と調合薬だとして、違法に薬物を投与した罪でも起訴されている。

 組織的詐欺の罪で有罪になった場合は、禁固7年と罰金100万ユーロ(約1億3000万円)が科せられる。また、法人資格を満たさないとして、パリのサイエントロジー・セレブリティー・センター教会とその関連施設は閉鎖される。

 公判は来月17日まで行われ、判決はそれ以降になるとみられている。(c)AFP/Dorothee Moisan