【5月26日 AFP】中国・湖北(Hubei)省巴東(Badong)の警察当局は23日、「地元当局の役人にレイプされそうになって、その役人を殺害した」として殺人の容疑に問われている女性について、「女性はレイプされていなかった」との最新の調査結果を発表した。

 同省のスパ・カラオケパーラーでウェイトレスをしていたDeng Yujiaoさん(21)の弁護士によると、Dengさんは今月10日、地元当局の3人の役人から性的暴行を受けそうになり、そのうちの1人、Deng Guidaさんをナイフで刺して死なせてしまった。その後、Yujiaoさんは警察に出頭。殺人の容疑で現在拘置されている。

 この事件が報じられると、Yujiaoさんには多くの同情が寄せられるとともに、地元メディアはYujiaoさんをヒロイン扱いするようになった。

 だが、巴東県のウェブサイトには23日、「警察当局による目撃証言や現場検証などから、女性はレイプされてはいなかったことが確認された」との声明が発表された。

 国営紙など複数の報道によると、役人たちは酒を飲んだ後、現場となったパーラーを訪れた。Yujiaoさんが「自分はただのウェイトレスで、性的サービスは提供していない」と主張すると、3人は札束でYujiaoさんのほおをはたき、ソファに押さえつけようとした。

 このとき、Yujiaoさんはマニキュア用のナイフを出してGuidaさんを刺し、もう1人の役人にも傷を負わせた。巴東県の声明によると、残る1人の役人については、過失はないという。

 京華時報(Beijing Times)紙によると、Yujiaoさんの弁護士は「正当防衛」のために殺害したと主張するとともに、「レイプされた」ことを示す証拠を警察が十分に集めていないのではないかと懸念しているという。

 ネット上のブログにも、スキャンダルの影響を最小限にとどめ役人たちを守るために、当局や警察はいかなる手段もとるだろうとの観測が多く見られている。(c)AFP