【5月15日 AFP】ブラジルで前年7月、放置されたスーツケースの中から切断された少女の遺体の一部が発見され、ボーイフレンドの男が逮捕された事件で、中部ゴイアニア(Goiania)の裁判所は14日夜、殺人と遺体切断の罪に問われたモハメド・ダリ・カルバリョ・ドス・サントス(Mohamed D'Ali Carvalho dos Santos)被告(21)に対し、禁錮21年の有罪判決を下した。地元メディアが報じた。

 陪審団はサントス被告が犯行時、心神喪失状態かつ薬物依存状態だったとの証言を受けて量刑を禁錮30年以下に軽減し、殺人罪で19年、死体遺棄罪で2年の禁錮刑を宣告したという。

■証言で明らかになった犯行の詳細

 殺害された英国人のカーラ・マリー・バーク(Cara Marie Burke)さん(当時17)は2006年、サントス被告と双方の母親が住むロンドン(London)で出会い、サントス被告によれば、その後たびたび「新たなブラジルを発見するため」にゴイアニアの被告の元を訪れていた。

 地元メディアのグロボ(Globo)やDiario da Manhaによると、サントス被告は公判で、バークさんが被告に金銭を要求し、断られると、今度は被告の麻薬常習癖と麻薬売買への関与を警察や家族に話すと脅してきたため、バークさんを何度も刺して殺害したと証言したという。当時、2人は被告のアパートで同居していたが、バークさんとはただの友人で、恋愛関係や性的関係はなかったという。

 証言によると、サントス被告は「彼女(バークさん)が電話をしている間に、ステレオの音量を上げ、彼女の口を覆って背中から刺した」。犯行に使用したナイフは被告のもので、テーブルの上に置いてあったという。その後、バークさんの遺体を浴室に運び、バークさんの携帯電話で写真を撮ってから、パーティーに出かけた。写真は後日、殺人行為を自慢するために英国の友人に送った。翌日、被告は肉切り包丁を購入し、遺体を切断して「胴体を袋に入れてスーツケースに隠した。頭と手足も袋に入れて、別のスーツケースに隠した」。スーツケースは両方とも近くの川に捨てられた。

■犯行時は心神喪失状態か

 サントス被告は証言で、犯行に至るまでの3日間、継続して麻薬を使用していたと話した。「何をしているのかわかっていなかった。後になって初めて自分がしたことに気づいた」。この点について、被告側弁護団は犯行は「残忍で醜悪」だとしつつ、犯行当時の被告は心神喪失状態かつ薬物依存症状だったとして、情状酌量を求めていた。

 一方、公判での証言によれば、サントス被告は逮捕後、罪を見逃してもらうため7万レアル(約320万円)のわいろを申し出たとされる。

 公判中、サントス被告はおおむね落ち着いていて、被告が10代のころに犯した軽犯罪について親類が証言したときなどに笑ったりもしていたという。

 サントス被告には現在、恋人(19)と生後8週間になる子どもがいるが、この恋人は被告の言動に問題はあるが、命の危険を感じたことはないと証言した。一方、被告の兄は長年、弟のかんしゃくと銃器やナイフに対して強い興味を示すことに恐怖を抱いていたと証言している。

 また、兄弟の父は警察官だったが、兄弟がまだ幼いころに何者かに殺害され、切断遺体で発見されている。(c)AFP