【4月30日 AFP】韓国で29日、盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo-Hyun)前大統領(62)に対する収賄容疑での事情聴取が始まった。前職大統領が事情聴取のために召喚されるのは韓国史上3人目となる。

 盧前大統領は同日、韓国南東部の自宅から聴取のため、ソウル(Seoul)へ向かうバスに乗り込む前、数百人の報道陣を前に「国民に面目ない。失望させて申し訳ない」と述べた。

 その後、盧氏は現地時間午後1時15分(日本時間同)にソウルの最高検察庁に、側近や弁護士らとともに到着した。最高検に入る際には報道陣の問いかけには答えなかった。

■親類家族の疑惑から前大統領へ、有力支持者と側近は逮捕

 盧氏は、盧氏の後援者である靴製造企業の社長から、盧氏の妻である権良淑(クォン・ヤンスク、Kwon Yang-Suk)夫人が100万ドル(約1億円)、実兄の娘婿ヨン・チョルホ(Yeon Cheol-Ho)氏が500万ドル(約5億円)の資金供与を受けた疑いに関し聴取される。検察当局では、この500万ドルは最終的に盧氏の長男、建昊(Gun-Ho)氏にわたったとみている。

 また、鄭相文(チョン・サンムン、Jung Sang-Moon)元青瓦台(大統領府)秘書官による12億5000万ウォン(約9100円)の横領について、盧氏が把握していたかどうかについても追及を受けるとみられる。

 検察はすでに靴製造会社の朴淵次(パク・ヨンチャ、Park Yeon-Cha)社長と鄭相文元秘書官を逮捕している。権夫人と長男建昊氏、ヨン・チョル氏もすでに聴取を受けている。

 盧氏は夫人が借金返済のための「融資」として、金銭を受領した点は認めているが、自分は事前に知らなかったとしている。建昊氏とヨン氏は500万ドルについても、正当な事業投資だと主張している。

 盧氏は一連のスキャンダルが発覚すると国民へ向け謝罪文を発表したが、自らの違法行為は一切認めていない。盧氏は容疑者として聴取を受けるが、検察では逮捕するかどうかはまだ決定していない。

■容疑者となった大統領経験者、史上3人目

 今回の疑惑が発覚して以来、韓国のメディアは盧氏に激しい批判を浴びせている。盧氏は大統領として2003-08年に在任したが、選挙戦で反汚職を掲げたのも当選の一因だった。

 韓国では過去5人の大統領が、自分または家族が絡んだ不正資金への関与で名を汚している。盧氏以前には、全斗煥(チョン・ドゥファン、Chun Doo-Hwan)元大統領、盧泰愚(ノ・テウ、Roh Tae-Woo)元大統領の2人が容疑者として事情聴取を受けた。両者は1995年に反逆罪と収賄で有罪判決を受けたが、97年に特赦を受けている。(c)AFP/Jun Kwanwoo