【4月22日 AFP】ケニア中部のカラチナ(Karatina)で20日、武装した自警団が、最大民族キクユ(Kikuyu)人が組織する暴力集団「ムンギキ(Mungiki)」と衝突し、21日までに少なくとも29人が投石を受けたりやなたで切られるなどして死亡した。警察および病院関係者が21日明らかにした。
 
「ムンギキ」は、マフィアに似た暴力集団で、頭を切断したり皮をはぐといった蛮行で恐れられている。現地の病院によると、これまでに確認された29遺体はすべて、腕を切断されていたという。

 治安当局によると、21日までに60人以上の容疑者が拘束された。事件を受けて、ジョージ・サイトリ(George Saitoti)内相は、ムンギキの徹底摘発を誓った。

 カラチナとその周辺では、ムンギキが絡んだ暴力事件が多発している。住民が自警団を組織するなどして抵抗すると、ムンギキは組織を立て直して住民への報復を行うといったことが繰り返され、これらの地域は戦場のような様相を呈しているという。

 こうした住民とムンギキとの「全面戦争」のなか、過去10日間で、ムンギキ側にも少なくとも15人の死者が出ている。

■「ムンギキ」の由来

 ムンギキは主にムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領の出身民族、キクユ人により組織される集団だ。ムンギキはキクユ語で「群衆」を意味し、英国植民地時代に独立闘争を担ったマウマウ団(Mau Mau)の元戦士らが結成したとされている。当初は伝統を重んじる若者を中心とした半宗教的な組織だったが、暴力集団化したため、2002年に非合法化された。

 2007年前半には警察や治安部隊による解体が進められたが、大統領選挙の結果をめぐって暴力が吹き荒れた2008年初頭、ムンギキは政府系の民兵組織として活動していたとの報告もある。(c)AFP/Ben Simon