【4月5日 AFP】第2次世界大戦中にナチス(Nazi)の強制収容所で看守を務めユダヤ人数万人の殺害に関与した疑いで訴えられていたジョン・デムヤンユク(John Demjanjuk)容疑者(89)に対し、米バージニア(Virginia)州の移民判事は3日、同氏の米国滞在を認める決定を下した。同容疑者は現在、米オハイオ(Ohio)州に在住している。

 移民判事によると、同件についての調査が行われている間、デムヤンユク容疑者は引き続きオハイオ州の自宅での滞在を許可されるという。

 同容疑者はナチス戦犯の大物の1人。第2次世界大戦中、現在のポーランドにあるソビブル(Sobibor)絶滅収容所で看守を務め、約2万9000人のユダヤ人殺害に関与した疑いがあるとして指名手配されている。

  米当局は、デムヤンユク氏が移民申請書に虚偽の内容を記載したとして本国送還する方針を明らかにしている。一方、弁護団は同氏が高齢であることを考えると、到着後すぐに身柄を拘束されるとみられるドイツへの送還は一種の拷問だと主張している。

 同氏はイスラエルで戦争犯罪に問われて裁判にかけられ1988年に死刑判決を受けたが、その後、同国最高裁が証拠不十分として判決を覆した。2002年には米国籍を剥奪された。ドイツの裁判所は09年3月、同氏に逮捕状を発行している。(c)AFP