【3月19日 AFP】(一部訂正)英国で18日、殺人罪で27年間服役していた男性が、DNA鑑定で有罪判決が覆り、釈放された。英控訴院が同日、判決は妥当ではないとして有罪を取り消す決定を出した。英国における冤罪(えんざい)・誤審事件としては、服役期間は最長の部類に入る。

 ショーン・ホジソン(Sean Hodgson)さん(57)は、弱々しい足取りでよろめきながら、兄弟のピーター(Peter)さんの手を握ってロンドン(London)の王立裁判所から姿を現し、階段の上から笑顔で人びとに手を振った。「興奮している。再び自由になれたことは本当にすばらしい」と語るホジソンさんに、ピーターさんも「27年間夢に見てきた」と述べ、キスを贈った。

 ホジソンさんは1979年、英南部サウサンプトン(Southampton)で、ガス委員会の事務員でアルバイトでパブで働いていたテレサ・デシモーネ(Teresa De Simone)さんが暴行され絞殺体で発見された事件で、殺人罪で有罪となり終身刑を言い渡された。当時はまだ、DNA鑑定が導入されていなかった。

 ホジソンさんは犯行を自供したが、裁判では無罪を訴えた。当時の弁護団は、ホジソンさんには病的な虚言癖があると主張していた。

 英控訴院によると、デシモーネさんの遺体から採取した犯人の体液のDNAを鑑定した結果、ホジソンさんのものと一致しないことが判明したという。

 事件を担当したハンプシャー(Hampshire)州警察当局は、捜査を再開し、「当時の証拠をDNA鑑定にかけて再検討し」て、DNAの持ち主を捜し出すとしている。(c)AFP/Robin Millard