【3月5日 AFP】前年7月にカナダ西部を走行中の長距離バス内で男性が刺殺され頭部を切断された事件で、第2級謀殺(計画性のない殺人)の罪に問われているVince Weiguang Li被告(40)の審理が4日終わった。検察側と弁護側の両方が同被告は精神疾患のため刑事責任はないと主張した。

 同被告は前年7月30日、カナダ西部エドモントン(Edmonton)からウィニペグ(Winnipeg)に向かう長距離バスに乗車中、隣の席で眠っていたティム・マクリーン(Tim McLean)さん(当時22)の胸を、刃渡り約10センチのナイフでめった刺しにした。

 陳述書によると、同被告はその後、ナイフとはさみでマクリーンさんの頭部を切断し、内臓を取り出した上、鼻、唇、耳をポケットに入れた。さらに、警官や通行人に切断した頭部を見せてあざ笑っていたという。

 また、被害者の眼球や心臓の3分の1がなくなっていることから、ある病理学者は被告が食べてしまったのではないかと推測している。同容疑者はそれについて否認している。

 3日間の審理で、検察側・弁護側の両方の証人として出廷した精神科医らは、Li被告は統合失調症で、被害者を殺害した当時、何をしているのか理解していなかったと述べた。

 同容疑者は事件当日、幻聴が聞こえ、邪悪な存在と戦うために常にナイフを持ち歩き、長距離バスに乗って、被害者を殺害するよう指示する神の声を聞いたという。

 Li容疑者は2日に無罪を主張したが、裁判所が精神疾患のため被告に完全な責任能力がなかったと判断すれば、同被告は治療のため施設に送られる可能性もある。判決は5日に下される。(c)AFP/Michel Comte