【2月20日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は19日、数十億ドルの巨額詐欺の疑いで米証券取引委員会(Securities and Exchange CommissionSEC)が提訴した米テキサス(Texas)州の投資会社経営、アレン・スタンフォード(Allen Stanford)氏(58)の身柄を、バージニア(Virginia)州で確保したと発表した。逮捕・拘束はしておらず、「裁判所命令に沿って」対応しているという。

 スタンフォード氏と同氏の所有するスタンフォード・フィナンシャルグループ(Stanford Financial GroupSFG)は、「あり得ない、根拠のない」高利回りをうたって金融商品を販売し「世界中に激震をもたらす不正」をしたとして、17日にSECに提訴された。しかし、スタンフォード氏は裁判所の召喚に応じず、行方がわからなくなっていた。

 スタンフォード氏が自分で当局に居場所を連絡してきたのか、当局の追跡で発見されたのかについては、FBIは言及を避けた。

 裁判所は提訴後、スタンフォード氏とSFG、および同社重役2人の資産を凍結。海外の資産についても、捜査官らが凍結や差し押さえの作業に入っている。
 
 SFGによれば、同社は130か国に5万人の顧客を持ち、500億ドル(約4兆7000億円)相当の資産を運用していた。SFGは中南米で特に成功を収めており、各国では心配した顧客らが同社支店の前に長蛇の列を作っている。

■クリケット大会のスポンサー、米政界に巨額献金も

 スタンフォード氏はクリケットの国際大会のスポンサーとして知られ、アンティグア・バーブーダ(Antigua and Barbuda)のナイト爵位を授与されている。同氏に国際試合の主催を依頼していた英クリケット協会では、計画が白紙に戻されたうえ、協会トップらの進退問題にまで発展している。

 また、米国の政治献金監視団体Center for Responsive PoliticsCRP)によれば、SFGは2000年以降、総額240万ドル(約2億2500万円)を政党や委員会、政治家らに寄付していた。この中には上院議員時代のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領(3万1750ドル)や、共和党の大統領候補だったジョン・マケイン(John McCain)上院議員(2万8150ドル)も含まれている。(c)AFP