【1月28日 AFP】(一部更新)英国のエリザベス女王2世(Queen Elizabeth II)が約40年前、オーストラリアで暗殺を免れていたと、引退した刑事局長が地元紙リスゴー・マーキュリー(Lithgow Mercury)に語った。

 クリフ・マクハーディ(Cliff McHardy)氏(81)氏によると実行犯は1970年4月29日、女王(当時44)とフィリップ殿下(Prince Philip)を乗せシドニー(Sydney)からニューサウスウェールズ(New South Wales)州オレンジ(Orange)に向かう列車の線路に巨大な丸太を置き、脱線させようと試みた。現場はシドニーの北西150キロのブルーマウンテン山脈Bowenfelsの曲がりくねった山道で、列車は丸太に衝突したが、速度が遅かったため脱線しなかった。

 約40年間も秘密にしていたこの話を明かしたのは、いまだ捕まっていない犯人についての情報を暴き出すためだと同氏は説明している。

 同氏によると、列車は丸太に衝突後ブレーキをかけたものの前輪で丸太を引きずったまま約200メートルも進んでBowenfels駅近くの踏み切りでようやく停車した。機関車は脱線せず、大きな被害を免れた。丸太には列車の車輪で深い傷が多数生じていたという。

 女王夫妻はオレンジまでの旅を続け、事故には気付かなかったようだという。

■「なぞなそ遊びのような捜査」

 捜査対象となったのは当時、北アイルランドの英国統治をめぐり武力抗争を続けていたアイルランド共和軍(Irish Republican ArmyIRA)に共鳴するとみられる人々だった。

 しかしオーストラリア政府の失態を隠すため、事件は厚い秘密のベールで隠され、捜査の妨げになったという。

 この秘密主義のため「われわれは何に関する捜査かを明らかにすることができず、聞き込みはなぞなぞ遊びのようにならざるを得なかった。そのため有力な容疑者が捜査線上に浮かぶことはなかった」と同氏は語った。

 同氏はこの事件について事故や単なる破壊行為ではありえないと主張。丸太が置かれたのは、女王らが乗った列車が通過する前に安全のため特別機関車が線路を清掃した後だったというのだ。

 同氏は「わたしの刑事生活で最も後悔していることの1つだ」とし、「この話が公になったので誰かが出頭するかもしれない」と述べた。

 英国では女王夫妻は39年間、この事件を知らなかったと報じられている。

 オーストラリア連邦警察は報道官を通じこの事件の詳細について過去の記録を調べていると述べた。ニューサウスウェールズ州警察当局は現在のところコメントしていない。(c)AFP