【1月16日 AFP】不正金融取引で捜査対象となっている米フィナンシャル・アドバイザーが、小型飛行機を墜落させて事故死を偽装し逃亡を試みた上、手首を切って自殺を図った。13日夜、フロリダ(Florida)州のキャンプ場のテント内で意識もうろうとしている容疑者を警察が発見、身柄を確保した。

 このフィナンシャル・アドバイザーは、インディアナ(Indiana)州インディアナポリス(Indianapolis)の高級住宅地、Fishers郊外在住のマーカス・シュレンカー(Marcus Schrenker)容疑者(38)。

 連邦保安官局(United States Marshals ServiceUSMS)によると、シュレンカー容疑者は14日、現在はタラハシー記念病院(Tallahassee Memorial Hospital)に搬送され、警察の保護下で治療を受けており、容体は安定しているという。

■航空事故死を偽装して逃走

 シュレンカー容疑者は、3日にわたって捜査当局から逃げていた。

 同容疑者は11日、乗っていた小型機を自動操縦にした上で、無線で緊急信号を発信、上空からパラシュートで飛び降りた。小型機はフロリダ州ミルトン(Milton)の住宅地から数百メートル離れた沼地に墜落。警察が、パイロットの行方を捜索していた。

 しかし、シュレンカー容疑者は隣のアラバマ(Alabama)州に無事着陸。たまたま通りがかった同州警官の車をヒッチハイクし、モーテルまで移動した後、あらかじめ準備していたバイクに乗って逃走した。その後、フロリダ州クインシー(Quincy)付近のキャンプ場で警察に見つかるまで、逃走を続けていた。

■不正金融取引で捜査

 事件の発端は、インディアナ州当局が大みそかに、シュレンカー容疑者の自宅と付近の事務所を家宅捜索したことだとみられている。州検察の広報官は、「これまで相当数の不正金融取引を捜査してきたが、こんな方法で起訴を逃れようとした例は初めてだ」とコメントした。

 同州当局は13日、州に無登録でフィナンシャル・アドバイザー業を開業し、不正な取引を行っていた容疑で、シュレンカー容疑者の訴追手続きに入ったという。
 
 同容疑者は、メリーランド(Maryland)州でも、保険会社が関与する50万ドル(約4500万円)相当の民事訴訟に関係し、指名手配されていた。(c)AFP