【12月30日 AFP】チリ当局は30日、故アウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)元大統領が率いた軍事独裁政権時代に親族が行方不明になったと虚偽の申告をしたとして、数家族を相手取り、訴訟を起こす意向を明らかにした。

 数日前、1973-1990年の軍事政権時代に殺害された、もしくは行方不明になったと記載されていた3人が、実際には生存していたり、軍事政権とは関係のない要因で亡くなっていたことが明らかになった。この3人の氏名は、死亡したとされながらやはり生存していた1人について、調査が進められていた途中で浮上した。この人物が最初に把握されたのは11月で、現在もアルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)に在住しているGerman Cofreさん(65)だった。

 ピノチェト政権時代に殺害された、もしくは死んだと思われている行方不明者は、公式発表では1183人とされており、その氏名はサンティアゴ中央墓地(General Cemetery of Santiago)の慰霊碑に刻まれている。彼らは国家の犠牲者として認定され、親族は政府による補償金の受給資格を持つ。

 サンティアゴ控訴裁判所は、ピノチェト時代の犠牲者に関する公式記録の誤りは「世論の深い驚がく」を引き起こしたとして、この件に当たる政府代理人としてカルロス・ガハルド(Carlos Gajardo)判事を任命した。パトリシオ・ロセンデ(Patricio Rosende)内務省次官は「この件にはスピードと特別の専念を要する」と述べ、ガハルド判事が今後の調査を担当することを明らかにした。(c)AFP