【11月20日 AFP】1994年のルワンダでの大虐殺前に発生した大統領暗殺事件に関与したとしてドイツで拘束されたRose Kabuye容疑者(47)の身柄が19日、フランス当局に引き渡された。

 Kabuye容疑者は、ルワンダのポール・カガメ(Paul Kagame)大統領の長年の側近。元ゲリラ指導者で、現在はカガメ政権で儀典長を務めている。ドイツ警察は、フランス当局の逮捕状に基づき、フランクフルト(Frankfurt)の空港に到着したKabuye氏を拘束していた。Kabuye氏の身柄はフランクフルトでフランス当局者に引き渡され、パリ(Paris)へ移送された。

 フランスの捜査当局によると、Kabuye容疑者は、ルワンダのハビリャマナ(Juvenal Habyarimana)大統領とブルンジのヌタリャミラ(Cyprien Ntaryamira)大統領(いずれも当時)、仏パイロット2人が死亡した航空機撃墜事件に関与したとみられている。

 航空機撃墜事件後には、ハビリャマナ大統領の出身民族だったフツ(Hutu)人らによるツチ(Tutsi)人と穏健派フツ人への襲撃が始まり、100日間にわたって子どもや女性を含む約80万人が犠牲となった大虐殺が起きた。

 フツ系の強硬派が襲撃の口実を作るため、同じ民族の大統領を殺害したとの見方もあるものの、フランス捜査当局は、カガメ大統領の率いていたツチ系反政府勢力が航空機を攻撃したと断定し、捜査を続けていた。

 欧州の捜査当局では、Kabuye容疑者らに対し準備されている訴訟内容を弁護士らが知るために、Kabuye容疑者が意図的に逮捕された可能性もあるとの見方も出ている。

■ルワンダでは抗議デモ

 ルワンダの首都キガリではKabuye容疑者の拘束を受け、3日間にわたって抗議デモが行われた。19日にも、Kabuye容疑者の身柄がフランスに引き渡されたのを受け、再び数万人規模の抗議デモが起きている。(c)AFP/Mathieu Foulkes