【11月18日 AFP】7月に窃盗目的で住居に侵入し、カナダ人モデルを殺害したとされる飲食店従業員の公判が17日、上海で行われ、被告は被害者を刺した後、数時間後に戻ったときに被害者がまだ生きていたことを知りながら、さらに窃盗に及んだことを認めた。

 18日の上海日報(Shanghai Daily)によると、容疑者のChen Jun被告(18)は、7月7日に上海でカナダ人モデル、ダイアナ・オブライエン(Diana O'Brien)さん(22)の部屋に窃盗目的で押入り、被告を捕らえたオブライエンさんの胸部を繰り返し刺したことを認めた。

 被告は5日後に上海から300キロ離れた中国東部安徽(Anhui)省宣城(Xuancheng)市のインターネットカフェで逮捕された。被告は同省の農村部からの出稼ぎ労働者だという。

 同紙が報じた被告証言によると、被告はオブライエンさんがほかのカナダ人モデルと共同で借りたアパートメントの警備がゆるかったため、この建物を狙い、オブライエンさんの部屋の戸が開いたまま光がもれていたのを見て侵入した。その後、居間にあったモバイル・コンピューターを盗もうとしたところをオブライエンさんに見つかり、しばらくもみあった後、逃げたオブライエンさんを追って、アパートの階段の踊り場で刺したという。

 検察によると、被告は真夜中ごろにいったんアパートを去ったが、そのときに「外国人女性の叫び声が聞こえる」と警察に通報し、警官2人が現場に急行した。しかし、何も聞こえなかったためそのまま立ち去った。
 
 被告の陳述によると、犯行から約4時間後に現場に戻ったとき、オブライエンさんは血まみれになって倒れていたが、まだ生きていたという。被告は公判で「今度は彼女を助けないことにした。通報したから、警察が来たはずだと思い、2度通報する必要はないと思った」と述べた。

 被告はオブライエンさんの部屋を再び物色し、モバイルPC、宝飾類、スーツケース、携帯電話、デジタルカメラ、カナダドルなどを持ち出した。

 オブライエンさんの遺体は翌朝6時ごろ、清掃作業員に発見された。オブライエンさんは上海に滞在してから2週間経っていなかったが、モデルとして契約した仕事の大半が実際にはバーで踊ることだと知り、カナダのブリティッシュ・コロンビア(British Columbia)州の実家に帰りたがっていたという。

 新華社(Xinhua)通信によると、公判は1日限りで約2時間のみで終わったが、判決はまだ下されていない。(c)AFP