【11月12日 AFP】ドイツの家庭の冷凍庫から2児の遺体が発見された事件で、乳児だった自分の娘2人を殺害し、自宅の冷凍庫に遺体を保管していたとして故殺(殺意なき殺人)罪に問われた母親の公判が11日から始まった。公判の冒頭、遺体を冷凍保存したことは認めたが、殺害は否定した。

 独メディアのトップで報じられたこの事件は、モニカ・ハルベ(Monika Halbe)被告(44)の10代の息子が自宅で冷凍ピザを探していたところ、袋に入った女児の遺体を発見したことから発覚した。

 この日、黒いセーターで顔を覆いながら独西部ジーゲン(Siegen)の裁判所に出廷したハルベ被告は冒頭手続きの間、無言のままぼんやりした様子で、ときに涙をぬぐった。

  アンドレアス・バルトロメ(Andreas Bartholome)弁護士が読み上げた起訴事実認否では、当時すでに3人の子どもがいたハルベ被告が、さらに子どもを産むことに非常に複雑な感情を抱いていたことが明らかにされた。

 ハルベ被告の家族は、被告の妊娠には気づかなかったと捜査官らに供述したが、ハルベ被告は弁護人に「彼らはわざと気づかなかったのかもしれないし、そうではないかもしれない」と述べたという。弁護人によると、ハルベ被告は医師を異常に恐れており、性的虐待によるトラウマを持っていた可能性があると指摘した。

 検察側は、ハルベ被告が1988年と2003~2007年の間に2人の女児を殺害したとして2件の殺人罪で起訴しており、有罪の場合、15年の禁錮刑に処される。1986年または87年に3番目の女児も殺害されたとみられているが、この事件はすでに時効が成立している。

 弁護側は、ハルベ被告が3人の遺体を冷凍庫に入れたことは認めているとした上で「彼女は遺体が見つかるのを恐れたのではなく、自分の近くに子どもたちを置いておきたかったのだ」とし、殺人罪を否定した。

 法廷で、子どもが誕生したときには生きてほしいと思ったかと問われたハルベ被告は、ゆっくりうなずいた。(c)AFP