【11月9日 AFP】インドネシア・バリ（Bali）島で2002年に起きた爆破テロ事件の実行犯3人に対する死刑が執行された9日、死刑囚らの支持者は報復を呼び掛けた。

　検察当局によると、現地時間9日午前零時15分(日本時間同日午前2時15分)にアムロジ（Amrozi、47）、その兄弟ムクラス（Mukhlas）ことアリ・グフロン（Ali Ghufron、48）、およびイマム・サムドラ（Imam Samudra、38）の各死刑囚3人の銃殺刑が執行され、検視の結果死亡が確認された。

　地元テレビの報道によると刑はヌサカンバンガン（Nusakambangan）島の収容所付近のオレンジ畑で執行された。

　3人は最期まで「異教徒」の犠牲者に対する謝罪の意を表することなく、東南アジアの大部分を支配するイスラム圏の創造という理想のための「殉教者」としての死を希望すると述べていた。

　この知らせに対し事件の犠牲者の遺族らは安堵と悲しみの混じった感情を示した。

　死亡したオーストラリア出身のクリント・トンプソン（Clint Thompson）さんの兄弟トレント・トンプソン（Trent Thompson）さんは、「彼らは亡くなってしまっているので喜びは大きくないが、この騒動を終わらせることができてほっとしているのは確かだ」と語った。

　3人は2003年に死刑判決を受けたが、少なくとも4度にわたり再審請求などを行ったため刑の執行が遅れ、メディアの注目を集めていた。

　アムロジ、ムクラス死刑囚の遺体が故郷のジャワ東部テングルン（Tenggulun）にヘリコプターで到着した際、支持者数百人が警官隊と衝突する場面もあった。西ジャワ（West Java）州セラン（Serang）に搬送されたサムドラ死刑囚の遺体が、イスラム教の教典コーランの文章がアラビア語で書かれた黒い布で覆われて墓地に向かう際にも同様の混乱が見られた。

　3人の判決は新たな反テロ法を事後的に適用したため、人権活動家の批判やイスラム教支持者の怒りを集めていた。(c)AFP/Arlina Arshad