【10月15日 AFP】米オハイオ(Ohio)州の死刑囚(41)が、肥満のため薬物注射による死刑執行では不当な苦痛を味わうとして提訴していた問題で、米最高裁は14日、同死刑囚の訴えを棄却し、その30分後に死刑が執行された。

 オハイオ州ルーカスビル(Lucasville)の刑務所のアンドレア・カーソン(Andrea Carson)報道官によると、Richard Cooey死刑囚の死刑執行は14日午前10時28分に行われたという。カーソン報道官は、刑の執行には何の問題もなく、Cooey死刑囚も苦しんでいるようには見えなかったとしている。

 Cooey死刑囚は、肥満による貧弱な血管と服用している偏頭痛の薬によって、同死刑囚にとって薬物注射による死刑は、合衆国憲法に反する残虐で異常な刑罰に相当する可能性があるとして提訴していた。Cooey死刑囚の体重は執行当時、約125キロだった。

 Cooey死刑囚は、薬物注射を行う際、同死刑囚が肥満であるため静脈を見つけにくい可能性があり、これが不当な苦痛を与えることになると主張。さらに、同死刑囚が服用している偏頭痛の薬が執行時に使用される麻酔薬の効果を弱め、執行時に「耐え難い苦痛を伴う」としていた。

 オハイオ州で2007年5月27日に刑を執行された死刑囚も、肥満だったという。この死刑囚は執行室に入室する前、注射針を両腕に刺すだけで1時間以上もかかったという。また、2006年に刑が執行された別の死刑囚は、執行中に静脈が破裂。カーテンによって死刑囚の様子は隠されていたものの、担当者が別の血管を探している間、この死刑囚は叫び声やうめき声を上げ続けていたという。(c)AFP