【9月9日 AFP】米国の市民団体「Citizens for Responsibility and Ethics in WashingtonCREW)」は8日、ディック・チェイニー(Dick Cheney)米副大統領に在任期間の記録文書を来年1月の退任後も保存するよう求める訴えを起こした。

 チェイニー氏は、副大統領としては米政治史上有数の影響力を持ち、ブッシュ政権の議論を呼んだ数々の政策の裏にはチェイニー氏の働きがあったとされる。一方で、歴史家や「開かれた政府」を求める活動家などは、秘密主義者として知られるチェイニー氏が副大統領在任中の記録を退任時に破棄するのではと懸念する声が上がっていた。

 CREWによると、チェイニー副大統領は、個人情報の保護や大統領記録法(Presidential Records Act)で記録の保護管理が義務付けられていないことなどを理由に記録の公開を拒否したという。

 CREWは、大統領記録法は米大統領関連の記録は大統領個人ではなく米国民に帰属するものと定めており、チェイニー副大統領の場合も同様に扱われるべきだと主張している。

 チェイニー氏は、副大統領に就任してから、イラク戦争やエネルギー政策などの重要政策に関する公文書の公開を強硬に拒否しているが、CREWら原告団は、米議会がチェイニー副大統領にも大統領記録法が適用されることを確認するまで、記録を保持するよう求めている。

 大統領記録法は、リチャード・ ニクソン(Richard Nixon)大統領(当時)が辞任に追い込まれた1974年のウォーターゲート事件(Watergate Scandal)で、証拠となる文書の廃棄や盗聴テープの18分間が削除されたことなどを機に、1978年に制定された。(c)AFP