【8月2日 AFP】元セルビア人指導者、ラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告(63)は、米国政府の提案により訴追免除の密約をしたが、米国はこれを反故(ほご)にし同被告を殺害しようとしたと主張した。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former YugoslaviaICTY)が1日、同被告が提出した文書を公表した。

 カラジッチ被告は、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(1992-95年)当時の残虐行為で、人道に対する罪などに問われている。

 文書によると、米国の和平交渉特使、リチャード・ホルブルック(Richard Holbrooke)米国務次官補(当時)が1996年、カラジッチ被告の公の場から姿を消すことの見返りに訴追の免除を約束した。また、マドレーン・オルブライト(Madeleine Albright)米国務長官(同)も、ロシア、ギリシャ、セルビアで暮らすよう提案したという。

 ホルブルック元米国務次官補は、米CNNのインタビューで密約の存在を全面否定した。

 カラジッチ被告は、「密約の実行が困難となり、(ホルブルック次官補が)清算(暗殺)に方針を転換した」とした。被告は複数の明らかな暗殺計画を察知したとしている。

 また、カラジッチ被告は公正な裁判を受けることはないと確信したとし、自分はメディアによる「魔女狩り」の犠牲者で、すでに戦争犯罪者と決めつけられており、公判への悪影響が懸念されるとしている。(c)AFP