【8月1日 AFP】(一部修正)ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(1992-95年)当時の残虐行為で、人道に対する罪などに問われている元セルビア人指導者、ラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告(63)の初公判が7月31日、オランダ・ハーグ(Hague)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former YugoslaviaICTY)で開かれた。長く伸びたあごひげを剃り、髪を整えた姿で出廷した同被告は、拘束には「不当行為」があったと主張するとともに、弁護士をつけず自ら弁護を行うとした。

 法廷ではまず、Alphons Orie裁判官によってジェノサイドや戦争犯罪、人道に対する罪など11の訴因が記された起訴状が朗読された。その後、被告の罪状認否に移ったが、カラジッチ被告は留保した。次回の公判は29日に予定されている。

 カラジッチ被告は「わたしは不当に拘束された。3日間にわたって誘拐され、ある場所に閉じ込められていた。わたしの権利も読み上げられなかったし、電話することも許されなかった」と語り、公式な拘束日時は7月21日とされているが、それ以前に「誘拐」されていたと主張した。拘束だけでなく移送に関しても「多くの不当行為があった」としている。

 セルビア政府関係者はAFPに対し、カラジッチ被告の主張について同政府は対応することはないとした。

 また、カラジッチ被告は、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の末期に、和平交渉特使のリチャード・ホルブルック(Richard Holbrooke)米国務次官補(当時)と取引を行ったとも主張した。カラジッチ被告によると、ホルブルック氏は同被告が公の場から姿を消せば、「そのかわりに、米国は約束を果たす」と語ったという。だが、同被告は約束の内容については明らかにしなかった。(c)AFP/Mariette Le Roux