【7月9日 AFP】(一部更新)オーストラリア・クインーズランド(Queensland)州で、児童に対する性的暴行で服役していた男が、出所後、住み着こうとした複数の町で住民らから追い出され、教会施設に保護される事態となっている。地元当局などは、住民らに自警団的行動を控えるよう強く求めている。

 デニス・ファーガソン(Dennis Ferguson)元受刑者(60)は前週、刑務所から出て2日目にして同州の田舎町マイルズ(Miles)から住民によって追い出された。その後、ファーガソンさんはブリスベーン(Brisbane)近くの教会施設に身を移すことになった。

 しかし、その施設の周囲には約60人が押しかけ、ファーガソン元受刑者の居住地が決まったらすぐに出て行かせるよう求めている。集まった人の中には(絞首刑などで使われる)輪なわを手にした人もいた。

 同州のジュディ・スペンス(Judy Spence)警察長官は「抗議に集まっている人びとは、むしろプラカードをもった暴徒だ。輪なわを振り回している者もいる。われわれオーストラリア国民がこういったことを行うとは、非常に恥ずかしい」と語った。

 ファーガソン元受刑者は、3人に子どもに対する性的暴行の罪で1988年から14年服役していた。出所後、さまざまな町に移り住んだが、毎回住民らによって発見され追い出されてきた。

 さらに、2005年11月に5歳の少女に対する性的暴行の容疑で逮捕され、拘置されていたが、前週、ようやく容疑が退けられ釈放されていた。判事は証拠に疑問を呈するとともに、裁判前に情報が広く出回ってしまったため、クイーンズランド州では客観的な陪審は望めないと判断したという。

 スペンス長官は、ファーガソン元受刑者が現在の施設から追い出されてしまった場合、路上暮らしを余儀なくされる可能性があると述べた上で、「男性(ファーガソン元受刑者)が現在、自由の身であることを考慮すると、行政側が特定の施設などで居住することを強制することはできない」と語り、当局と住民側双方の問題を指摘した。(c)AFP