【7月4日 AFP】イラク政府は3日、イラク戦争時に米軍に没収された古代ユダヤ教に関する貴重な書物など約300点について調査する特別委員会を設置したと発表した。

 イスラエル日刊紙ハーレツ(Haaretz)によると、約300点の書物の中には、1487年に出版されたヨブ記の注解書や、1617年にベネチア(Venice)で出版された聖書の預言書も含まれる。これらの書物は2003年に始まった戦争の際に米軍の爆撃を免れ、その後修復のため米国に送られ、後にイスラエルで発見された。

 イラクはかつてユダヤ人を受け入れており、1948年のイスラエル建国時の、ユダヤ人人口は約13万人を数えた。

 バグダッド(Baghdad)の国立博物館で会見したムハンマド・アッバス・オレイビ(Mohammad Abbas al-Oraibi)国務相(観光・遺跡担当)は、作業チームを米国に派遣し、事実関係を確認すると述べた。 

 イラク政府は、国際刑事警察機構(Interpol)にも、米軍のイラク侵攻に続く混乱の中でイラクから盗まれた数万点にのぼる貴重な古代遺物のリストを提供している。侵攻後、1万2000か所の遺跡から約3万2000点の遺物が盗まれ、国立博物館からも1万5000点が盗まれている。

 ヨルダン政府は前月、金貨、宝石、イスラム教書物など2466点をイラクに返還。また、シリアや米国で発見された盗品も最近、返還され始め、イタリアで発見された品々も間もなく戻される予定だ。

 イラク政府はさらに、スペイン、フランス、トルコ、またイランなどの湾岸諸国にも、古代遺物の盗品について情報を求めている。(c)AFP