【6月15日 AFP】(一部更新、写真追加)前年10月に誘拐され、イランの南東部で14日解放された横浜国立大生の中村聡志(Satoshi Nakamura)さんが15日、テヘラン(Tehran)に到着した。

 中村さんは午後3時(日本時間午後7時30分)ごろイラン南東部のザーヘダーン(Zahedan)から空路テヘランのメフラバード(Mehrabad)国際空港に到着した。

 イラン政府高官によると、中村さん誘拐の首謀者とみられるイスマイル・シャフバフシュ(Esmail Shahbakhsh)という名前の男は、逮捕されている自分の息子と中村さんの交換を要求していたという。

 イランのファルス(Fars)通信がイラン国境警備隊司令官の話として伝えたところによると中村さんの解放はこの要求に応じたものでないという。

 高村正彦(Masahiko Komura)外相は15日、「深甚なる感謝を表したい」と述べ、イラン政府関係者に謝意を示した。

 外務省の発表によると日本からは小野寺五典(Itsunori Onodera)外務副大臣が中村さんの引き渡しを受けるためテヘランに向かい、16日に大阪に向けて現地を出発する。

■多発する誘拐事件

 イラン、パキスタン、アフガニスタンが国境を接するシスタンバルチェスタン(Sistan Baluchestan)州は国境管理が甘く、盗賊が多いことで知られる。当局の警告にもかかわらず、イランからパキスタンに入国するのにこの経路を使用する外国人旅行者は後を絶たない。

 この周辺では1999年以降外国人の拉致事件が分かっているだけで6件発生している。大部分は平和的解決をみているが、1999年2月にはドイツ人が殺害されている。

 日本とイランの両国関係は、イランの核開発計画停止を求める国際社会の動きに日本政府が同調し始めたためやや悪化しているが、歴史的に友好的関係を保っている。(c)AFP/Farhad Pouladi