【6月11日 AFP】ギリシャのレスボス(Lesbos)島の住民らが、元々レスボス島の島民を意味する「レズビアン」という言葉を女性同性愛者に独占されたとして起こしている訴訟の第1回口頭弁論が10日、ギリシャ・アテネ(Athens)の裁判所で開かれた。

 カナダ・モントリオール(Montreal)在住のギリシャ人男性Yiannis Achlopitasさんは、「レズビアンはもともと『レスボス島の住民』という意味。しかし、私の母や娘、姉妹は自分たちのことをレズビアンと呼ぶことを恥ずかしく思っている」と裁判で述べた。

 さらに、「海外に住む女性は、身を隠した生活を強いられている。インターネットや新聞などあらゆるところで生まれ故郷への攻撃が行われている。米国やカナダ、オーストラリアでの中傷は想像を絶するものだ」と話した。

 エーゲ海(Aegean Sea)に浮かぶレスボス島の住民3人は4月、ギリシャの同性愛者団体「ギリシャ・ゲイ・レズビアン連合(Greek Gay and Lesbian CommunityOLKE)」に対し、団体名から「レズビアン」の名称を削除するよう求める裁判を起こしていた。

 ギリシャでは島の中心都市の名前からミティリニ(Mytilene)とも呼ばれるレスボス島は、女性への愛の叙情詩を歌ったといわれる、紀元前6世紀の女流詩人サッフォー(Sappho)の故郷として知られている。同島のエレソス(Eressos)は、レズビアンの観光名所となっているが、島民は歓迎していない。

 ある雑誌編集者は、世界中のメディアで、「レズビアン」を女性同性愛者を意味する言葉として使用することを止めようと提唱している。

 また、レスボス島外に移住したあるギリシャ人男性は、「私の名前はポール。レズビアンです」と書かれた横断幕を掲げて、レスボス島の住民を応援している。

 一方、OLKE担当の男性弁護士Themistoklis Kefalasさんもレスボス島の住民だが、レズビアンという呼称で娘が被害を受けたことはないと述べ、「この言葉は、少なくとも18世紀から、現在の意味で使われてきた」と指摘した。

 裁判所の判断は、約1か月後に下される。(c)AFP