死刑宣告のアフガニスタン学生記者、拷問被害を訴える
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【5月19日 AFP】イスラム教を冒とくしたとして一審で死刑判決を受けたアフガニスタンの学生記者が18日、控訴審で自らの無罪とともに、自白を強要しようとした治安部隊から拷問を受けたと訴えた。
北部バルフ(Balkh)州で裁判を受けているのは、Perwiz Kambakhsh被告(23)。裁判所に対し被告は、イスラム教の教義に疑問を投げかける記事をインターネットからダウンロードしたことは認めたが、それをバルフ大学(Balkh University)の同級生数人に配った容疑は否定した。
また、自らの信じるイスラム教を冒とくしたことにならないかという質問に対しても、「わたしはムスリムであり、信仰を冒とくすることを自分に許したことはない」と強く否定した。
■一審は弁護人なし、3分で判決
バルフ州の裁判所は1月、非公開審理だった一審でKambakhsh被告に死刑を宣告した。被告によると公判はわずか3分で終了したという。また、逮捕後3か月も経過してから開かれたこの初公判で、被告に弁護人はつけられなかった。
この事態にアフガニスタン内外のメディアや人権団体から非難が巻き起こっており、そうしたグループらはハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領に干渉を求めている。
Kambakhsh被告は「拷問され、ほかにどうしようもなく容疑を認めた」と述べ、供述書に署名するようにも強制されたと主張している。
18日、囚人服の上に黒のジャケットを着て法廷に現れた被告は陳述の冒頭にコーランを読み上げ、自分はイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の子孫だと述べ、「どうして神を冒とくできよう」と訴えた。
しかし判事の一人は、被告が問題のダウンロード記事に、ムハンマドは自らの欲求を満たす目的のみで聖句を書いたと非難する書き込みをしていたと、大学の教員2人のほか学生10人程度が一審で証言したと指摘した。また、一審では被告が携帯電話の通信を通じて、殉教者に関するジョークを広めていた容疑も問われ、一審は被告にイスラムの冒とくで有罪の判決を下した。
■進むメディアの解放に立ちはだかるイスラム保守派
アフガニスタンの司法はイスラム教のシャリア(Sharia、イスラム法)に則っており、イスラム教に対する批判を禁じ、冒とくの罪を犯した場合には死刑の適用を定めている。しかし、イスラム原理主義勢力の立場をとる旧支配勢力タリバン(Taliban)崩壊後の新憲法では、言論の自由を含む国際的な権利や自由の概念を法制化している。
Kambakhsh被告は「Jahan-e Naw(新しい世界)」と呼ばれる小新聞の記者を務めていた。死刑を含む厳罰をもって、イスラム信仰に関する規範を犯さないよう言論統制を敷いたタリバンの追放後、アフガニスタンのメディアの活動は盛んになっている。
いわゆる「自由なメディア」への歩みが進んでいるにもかかわらず、アフガニスタンのジャーナリストたちは、いまだ原理主義的な宗教指導者や保守的な政府職員らによる脅しや非難を受けている。 (c)AFP/Sardar Ahmad
北部バルフ(Balkh)州で裁判を受けているのは、Perwiz Kambakhsh被告(23)。裁判所に対し被告は、イスラム教の教義に疑問を投げかける記事をインターネットからダウンロードしたことは認めたが、それをバルフ大学(Balkh University)の同級生数人に配った容疑は否定した。
また、自らの信じるイスラム教を冒とくしたことにならないかという質問に対しても、「わたしはムスリムであり、信仰を冒とくすることを自分に許したことはない」と強く否定した。
■一審は弁護人なし、3分で判決
バルフ州の裁判所は1月、非公開審理だった一審でKambakhsh被告に死刑を宣告した。被告によると公判はわずか3分で終了したという。また、逮捕後3か月も経過してから開かれたこの初公判で、被告に弁護人はつけられなかった。
この事態にアフガニスタン内外のメディアや人権団体から非難が巻き起こっており、そうしたグループらはハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領に干渉を求めている。
Kambakhsh被告は「拷問され、ほかにどうしようもなく容疑を認めた」と述べ、供述書に署名するようにも強制されたと主張している。
18日、囚人服の上に黒のジャケットを着て法廷に現れた被告は陳述の冒頭にコーランを読み上げ、自分はイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の子孫だと述べ、「どうして神を冒とくできよう」と訴えた。
しかし判事の一人は、被告が問題のダウンロード記事に、ムハンマドは自らの欲求を満たす目的のみで聖句を書いたと非難する書き込みをしていたと、大学の教員2人のほか学生10人程度が一審で証言したと指摘した。また、一審では被告が携帯電話の通信を通じて、殉教者に関するジョークを広めていた容疑も問われ、一審は被告にイスラムの冒とくで有罪の判決を下した。
■進むメディアの解放に立ちはだかるイスラム保守派
アフガニスタンの司法はイスラム教のシャリア(Sharia、イスラム法)に則っており、イスラム教に対する批判を禁じ、冒とくの罪を犯した場合には死刑の適用を定めている。しかし、イスラム原理主義勢力の立場をとる旧支配勢力タリバン(Taliban)崩壊後の新憲法では、言論の自由を含む国際的な権利や自由の概念を法制化している。
Kambakhsh被告は「Jahan-e Naw(新しい世界)」と呼ばれる小新聞の記者を務めていた。死刑を含む厳罰をもって、イスラム信仰に関する規範を犯さないよう言論統制を敷いたタリバンの追放後、アフガニスタンのメディアの活動は盛んになっている。
いわゆる「自由なメディア」への歩みが進んでいるにもかかわらず、アフガニスタンのジャーナリストたちは、いまだ原理主義的な宗教指導者や保守的な政府職員らによる脅しや非難を受けている。 (c)AFP/Sardar Ahmad