【5月10日 AFP】殺人などの罪に問われているペルーのアルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領(69)が、リマ(Lima)の最高裁特別刑事法廷で近ごろ開かれた公判で証人の証言を聞いて大笑いしたことを受け、担当の検察官や被害者の弁護団は元大統領が公判中に居眠りや大笑いをしたり、政界復帰を画策するなどして公判に注意を払っていないと非難した。

 元大統領は、在任中の1991年と1992年に起きた軍特殊部隊による2つの市民虐殺事件をめぐり殺人など複数の罪に問われており、有罪が確定すれば最高で禁固30年の刑が言い渡される可能性がある。元大統領は1990-2000年のフジモリ政権下で、反体制派に対し「汚い戦争」を遂行したことは否定している。人権侵害の刑事責任を追求され、前年9月に拘束先のチリから身柄を引き渡され同年12月に審理は始まった。

 元大統領は最近2回の公判で証言中に居眠りしたほか、5日には証言に立った退役陸軍大佐ミゲル・ベルナル・ネイラ(Miguel Bernal Neyra)氏が、元大統領が旅行に出かける際に鍵穴から服装を覗いて行き先を探っていたとの証言を聞いて大笑いした。

 8日には地元紙Peru21が1面に、大統領選に関するメモを書いた書類を法廷で覗き込むフジモリ元大統領の写真を掲載した。フジモリ元大統領のメモには将来の政治集会の詳細や、集会で配るカレンダーや帽子、ラジオ広告キャンペーンなどの詳細が含まれていた。元大統領の支持者は娘のケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏を党首とする新党結成を計画している。

 原告側はフジモリ元大統領の態度は敬意に欠け、自分に問われている罪の重さを理解していないとして非難している。(c)AFP