【4月30日 AFP】オーストリア東部でヨーゼフ・フリッツル(Josef Fritzl)容疑者(73)が実の娘を24年間監禁し、性的暴行を加えて子ども7人を産ませていたとされる事件で、捜査当局は29日、これまでの捜査でフリッツル容疑者の妻は事件に関与していないとの見解を示す一方、地下室の建造などに加わった共犯者の有無の確認に全力を挙げていることを明らかにした。

 フランツ・ポルツァー(Franz Polzer)主任捜査官は「7人の子どもを育てている容疑者の妻が、容疑者が実の娘に産ませた子ども7人の世話をするのは、理屈にあわない。事件に関与した事実は確認できなかった」と語った。

 その一方で捜査当局は、娘たちが監禁されていたわずか60平方メートルの部屋に取り付けられていた電子錠付きの強化鋼製のドアに注目しているという。フリッツル容疑者は27日、数時間の尋問後、電子錠の暗証番号を自白していた。

 ポルツァー捜査官は「ドアと電子錠システムに対し、専門家による調査を依頼した」としている。調査の目的は、容疑者1人でこの設備を設置することができるかどうかを判断するためとみられる。

 フリッツル容疑者は、1970年代後半に地下室を作る許可を得た。もともとは1室だけだったが、子どもが産まれるにつれて次々に部屋数が増えていったという。捜査当局は29日、フリッツル容疑者が所有するほかの5つの建物を捜索したが、隠し部屋などは発見されなかった。

 ポルツァー捜査官は、フリッツル容疑者が1990年代、タイで休暇を過ごしたことを示す写真が発見されたが、地下室には数週間分の食料品などを保管できる部屋があったため、必ずしも同容疑者の不在の際に被害者の食事などの世話をしていた共犯者が存在するとは言えないと語った。(c)AFP