【4月25日 AFP】都内の高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京(The Peninsula Tokyo)」で25日、男性(47)が衣料用洗剤で硫化水素ガスを発生させて自殺を図った。東京消防庁が発表した。男性は病院に運ばれたが意識不明の重体。

 10階で腐敗臭がするとの通報を受けた消防隊は硫化水素ガスが発生しているのを確認した。宿泊客17人が一時避難したが、けが人は出なかった。

 「ザ・ペニンシュラ東京」は、国際ホテルチェーンの香港上海ホテルズ(Hong Kong and Shanghai Hotels)が手掛けた1019室の高級ホテルで、東京の高級ホテルブームに乗って皇居のそばに前年9月にオープンしたばかり。

■相次ぐ硫化水素自殺

 硫化水素ガスは、簡単に入手できる衣料用洗剤と入浴剤で発生させることができる。また、硫化水素ガスを使用した自殺方法がインターネット上で広がっており、国内各地で自殺が相次いでいる。日本の自殺率は、世界的にも非常に高い。

 高知県では23日、14歳の少女が自宅アパートの風呂場で硫化水素ガスを使って自殺を図り、近隣住民120人が避難する騒ぎとなった。警察は現場で空の洗剤容器を発見し、ドアに「毒ガス発生中」と書かれた紙が張られていた。

 兵庫県篠山市でも24日、市内の公園近くに駐車していた乗用車内で30代の男性が死亡しているのが発見されている。自動車のフロントガラスには硫化水素発生を示す張り紙があり、車内からは洗剤容器と遺書が発見された。

 京都市でも24日夕方、駐車中の乗用車内部で、硫化水素が発生していると書かれた紙とともに男性が死んでいるのが発見されている。朝日新聞(Asahi Shimbun)によると、車内には薬品のビンがあったという。

 一方、日本経済新聞(Nikkei)は、前月は同様の事例が8件あったと報じている。同紙によると3月27日、神戸市で男性(27)が自宅風呂場で硫化水素を使って自殺を図り、救出しようとした男性の父親(64)もガスを吸って死亡したという。(c)AFP