【2月27日 AFP】ロンドン(London)の高等法院で開かれているダイアナ元英皇太子妃(Princess Diana)の死因究明審問で26日、英秘密情報部(Secret Intelligence ServiceSIS、通称MI6)の元工作員が証言し、旧ユーゴスラビアの故スロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元連邦大統領の暗殺計画と元妃の事故死が酷似しているとの指摘について、これを完全否定した。

 1990年代にMI6が、ミロシェビッチ元大統領を乗せた車両がトンネル内に入った際、ヘッドライトで運転手の目をくらませ事故死に至らしめる暗殺計画を立てていたことは、以前、元MI6工作員のリチャード・トムリンソン(Richard Tomlinson)氏が元妃の事故を担当する仏捜査機関に語っている。

 ダイアナ元妃の交際相手で共に事故死したドディ・アルファイド(Dodi Al-Fayed)氏の父モハメド・アルファイド(Mohamed Al-Fayed)氏は、MI6の暗殺計画は元妃らが事故死した状況に酷似しているとして、2人の死はイスラム教徒だったドディ氏との結婚を妨害するために仕組まれた王室上層部の命令によるものだと主張していた。

 しかし、MI6でバルカン半島担当だったという元工作員の「A」氏は、この日の証言で、ミロシェビッチ元大統領を交通事故にみせかけて暗殺するとの話題が上司との間で取り交わされたことは認めたが、こうした手法は情報機関の倫理に反するとの考えからそれ以上話題に上ることはなかったと述べた。

 さらに、英女王エリザベス2世(Queen Elizabeth II)の夫のフィリップ殿下(Prince Philip)が元妃らの殺害を指示したとのアルファイド氏の主張について「全くあり得ない」と否定した。(c)AFP