【2月22日 AFP】ドイツの実業家らがリヒテンシュタインに送金し脱税したとされる事件で、リヒテンシュタインのアロイス(Alois)皇太子は21日、ドイツ当局の捜査に対し、投資家の個人情報を保護する意向を示した。

 アロイス皇太子は議会で、「他国が市民の個人情報に関する分野に介入しているときや、盗難されたデータを買うのに多額の金をかけているときに、市民はプライバシー保護の必要性を強く感じるものだ」と述べた。

 また、「プライベートな分野では、財産権の保護も拡大する必要があり、介入されるべきではない」として、同国で行われる捜査には、独立した裁判官の認可が必要だと主張した。

 アロイス皇太子が、銀行の守秘義務制度への介入に異議を唱えるのは、今回で2度目。同皇太子は、ドイツ捜査当局が、この巨額脱税事件を秘密裏に捜査していると批判。さらに、ドイツ政府が、投資家の口座についての情報提供者に400万ユーロ(約6億4000万円)を支払い、リヒテンシュタインの主権を損なっていると訴えている。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and DevelopmentOECD)から「非協力的なタックスヘイブン(租税回避地)」に指定されているリヒテンシュタインに対し、銀行取引を透明化し、OECDに詐欺や資金洗浄対策に取り組むことを早急に約束するよう求めている。(c)AFP