【2月21日 AFP】ロンドン(London)の高等法院で開かれているダイアナ元英皇太子妃(Princess Diana)の死因究明審問で20日、英秘密情報部(Secret Intelligence ServiceSIS、通称MI6)のRichard Dearlove元長官が証言。ダイアナ元妃が王室上層部の命令によって殺害されたとする、同元妃の交際相手ドディ・アルファイド(Dodi Al-Fayed)氏の父モハメド・アルファイド(Mohamed Al-Fayed)氏の主張を否定した。

 アルファイド氏は、同元妃が妊娠しており、イスラム教徒だったドディ氏と結婚寸前だったことが原因で王室上層部が殺害を命令したと主張している。

 この主張についてDearlove元長官は、「ばかげている。まったくの見当違いだ」と完全否定。また、MI6に勤務していた1966-2004年の間に、同機関が暗殺を行ったという事実を把握しているかとの質問に対しても「把握していない」と答え、MI6の関与も否定した。

■「盗聴や尾行なかった」

 同元長官は、1994-99年までMI6の作戦部門を率い、1999-2004年までは「C」と呼ばれるMI6長官を務めた。情報機関は原則的に機関側に向けられた申し立てにはコメントしないのが原則であるため、今回の証言は異例なものだといえる。

 Dearlove元長官は、MI6は法律上、盗聴などの非合法活動を含むすべての作戦には正式な承認を得ることが必要だとした上で、1997年はダイアナ元妃に関するいかなる作戦許可も申請していないと述べた。

 さらに、パリ(Paris)での事故直前に同妃とドディ氏が過ごした休暇中、盗聴や尾行など「考えられるいかなる」作戦も行われなかったと明言した。(c)AFP