【2月19日 AFP】米国の写真家、故ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)氏の写真集のわいせつ性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁は19日、わいせつと判断した2審判決を破棄し、国内への持ち込みを禁止した税関の処分取り消しを命じた。

 訴えていたのは問題の写真集の日本語版を出版した映画配給会社の浅井隆(Takashi Asai)社長。1999年、浅井氏が自ら出版したこの日本語版の写真集を持って米国から帰国した際、成田空港の税関が、掲載された260点の写真のうち20点がわいせつだとして持ち込みを認めなかったことから、税関の処分を違法だとして国に取り消しを求めていた。

 2003年の2審の東京高等裁判所の判決は、「わいせつ性がある」と判断していた。浅井氏は、これらの写真は芸術としてみなされるべきだ主張していた。

 最高裁は1999年に判決が出た別の訴訟で、メイプルソープの写真を掲載した別の書籍をわいせつ性があると判断していたが、時事通信(Jiji Press)によると、最高裁の那須弘平(Kohei Nasu)裁判長は19日、「健全な社会通念に照らし、風俗を害すべき書籍、図画に該当しない」との判断を示した。

 日本ではポルノを容易に入手できるが、性器をあからさまに描写した図画の輸入は法律で禁じられている。外国映画を日本国内で上映する際には、性器がはっきり見えないように画像処理が施されるのが普通だ。(c)AFP