【2月19日 AFP】(2月19日 写真追加、2月20日 一部訂正)フランス警察は18日未明、特殊部隊を含む警官数百人を投入して、前年11月の暴動の舞台となったパリ郊外の地区を一斉捜査し、暴動を首謀したとみられる38人のうち33人を逮捕した。仏警察が行った同種の作戦では、過去最大規模のものとなった。

 同作戦は、パリ北部約20キロのビリエルベル(Villiers-le-Bel)の集合住宅地区約10ブロックとその周辺地区を対象に、フランス国家警察特別介入部隊(RAID)の指揮の下、実行された。この強制捜査で、警察は拘束すべき人物としてリストに挙げていた38人のうち33人を逮捕した。同地区周辺は、前年11月25日から3昼夜にかけて発生した暴動の中心地だった。

 Marie-Therese de Givry検察官は同地区内にあるファストフードチェーン、マクドナルド(McDonald)店内で記者会見し、「われわれがあそこへ行ったのは秩序と平和を再構築するためだと住民には理解してほしい」と語った。

■匿名可、懸賞金付きの情報提供呼びかけに3件

 昨年の暴動は11月25日にビリエルベルで、10代の少年2人が乗ったバイクがパトカーと衝突し、少年たちが死亡したことをきっかけに発生、またたく間に広がった。法務省によると、警官隊との3日間に及ぶ衝突で警官119人が負傷、うち5人は重傷を負った。暴動に参加した若者側の負傷者について発表された数字はない。

 同暴動では警官に対する銃撃も発生。12月に入り、警察は同地区で銃撃の目撃者には、匿名可で数千ユーロ(数十万円)の報酬を提供するとして目撃情報を呼びかけるチラシを配布した。捜査当局に近い筋によると、この呼びかけに応じ、少なくとも3人から、同地区に住む2人の兄弟の関与を指摘する情報が寄せられたという。

■警官への発砲にサルコジ大統領「厳重処罰を」

 ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は暴動直後、銃撃した者を必ず検挙すると誓い、「処罰なしでは済まされない。絶対的最優先課題だ」と厳しい取り締まりを求めた。

 サルコジ大統領は今月、貧困層が集まる郊外地域を対象に支援プログラムを開始した。アフリカ系移民が集中するこれらの地域では、若年層の失業率が40%にも上る。しかし大統領は同時に、犯罪に対する「慈悲なき戦い」も宣言している。

 サルコジ氏と大統領選を争った社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏は同日、ビリエルベル地区での警察の強制捜査について「メディア向けの警察の広報活動だ」と批判した。(c)AFP/Stephane Jourdain