【2月10日 AFP】インドで違法な臓器移植を行っていたとされるインド国籍の医師Amit Kumar容疑者(43)が7日夜、逃亡先のネパール南部のホテルで拘束され、9日インドに送還された。

 Kumar容疑者はインドで、貧しい労働者を脅したり、だましたりして数百人から腎臓を摘出し、裕福なインド人や外国人に移植して多額の利益を得ていた。この事件は、インド警察が前月、ニューデリー郊外の高級地グルガオン(Gurgaon)にある複数の病院と住宅を捜索したことで明らかになった。

 グループの首謀者とされる同容疑者は事件発覚後、住宅を所有しているカナダに逃亡するためネパールに渡っていた。国際刑事警察機構(ICPOInterpol)に国際指名手配されていたKumar容疑者は7日夜、ネパール当局に拘束された。

 Kumar容疑者は8日、ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)で記者会見を行い、無実を主張していた。この記者会見で警察は同容疑者から押収した約20万ドル(約2150万円)相当の複数の通貨の紙幣の束を公開した。

 この事件ではすでに複数の仲介者や病院職員が拘束されており、Kumar容疑者の弟Jeevan Rawat容疑者(36)も国際指名手配を受けている。

 Kumar容疑者は9日、インドの首都ニューデリー(New Delhi)に到着直後に中央捜査局(Central Bureau of InvestigationCBI)に引き渡された。これに先立ちインド当局はネパール当局に同容疑者の身柄引き渡しを望むと伝えていた。

 同容疑者は10日に出廷する。通信社PTIによると有罪の場合、最大で10年の禁固刑となる可能性がある。

 インドの法律では、腎臓の生体移植は血縁関係のある親族か配偶者間、あるいは相互協定を結んだ家族間でのみ認められている。いずれの場合も政府の承認を受けなければならない。しかしインドでは提供者が極めて少なく、需要と供給の間の大きな開きが違法な取引の原因となっている。(c)AFP