【1月7日 AFP】米最高裁で7日、薬物注射による死刑執行の合憲性の審理が始まる。合衆国憲法は「残虐で異常な刑罰」を禁じている。

 死刑反対論者は薬物注射による死刑が苦痛を伴う可能性があると指摘していた。また、死刑制度が1976年の最高裁判決で復活して以来、全米で死刑が公平かつ正確に実施されているかについての疑問が高まっている。

 最近執行された500件の死刑のうち、98%が薬物注射によるものだ。

 薬物注射による死刑では、3種類の薬剤を静脈注射する。想定では死刑囚はすぐに意識を失い、数分以内に死亡する。しかし最初の麻酔薬が適切に投与されなかった場合、残り2種類の薬剤投与は非常に苦痛を伴う可能性があることが、科学的調査や失敗例から明らかになっている。

 2004年にケンタッキー(Kentucky)州の2人の死刑囚が、薬物注射による死刑は合衆国憲法修正第8条で禁じられている「残虐で異常な刑罰」に相当するとして巡回裁判所の判断を仰いだが、敗訴した。

 同州当局側は、誤りや事故が発生しない限り苦痛はないとして、薬物注射には問題はないとの見解を示した。一方、死刑囚側は工程が複雑で刑務所職員に対する訓練が不十分なため、苦痛が発生する確率は極めて高いと主張。そのため薬物注射による死刑執行について厳しい規則を設けるべきとした。この場合、医師や麻酔専門医の立ち会いが必要になるが、医師たちは協力を拒むケースが多い。

 代用案としてはバルビツール酸系麻酔薬の大量投与が挙げられている。この方法だと、死亡に至るまでには時間がかかるが、苦痛は一切感じないという。

 最高裁は7月までに結論を出す見通し。(c)AFP/Fanny Carrier